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家づくり性能について

耐震改修について考える

2024.11.01

皆さま、こんにちは。satoie(竹田建設株式会社)の竹田亜沙美です。
先日、岡山県と岡山県建築士事務所協会が開催した「木造住宅の耐震補強の実務」という講習に参加してきました。

今年に入り、能登半島沖地震の影響もあり、例年に比べ耐震診断のご相談件数が大変多いです。
岡山県でも同じように件数が多いとの報告がありました。
そこで今回は住宅の耐震改修について考えてみました。

上のグラフは岡山県への耐震診断や耐震改修の補助の件数を表したものですが、一番上の折れ線が耐震診断の申込件数です。
H23年は3月に東日本大震災が、H28年には4月に熊本地震が発生しており、診断件数が他の年より多くなっているのがわかります。
今年(R6年)も9月までの件数ですが、すでに昨年1年分の件数の2倍の申込みがあります。
当社だけでなく、岡山県全体でも今年は申込件数がとても多いですね。

岡山県として耐震化への課題

グラフを見てもわかるように、岡山県の課題は、耐震診断から耐震改修工事まで進む件数の少なさにあります。
(グラフの点線が実際に補助金を活用して改修工事を行った件数です。)
講習では、高知県の耐震化への取り組みの報告があり、人口や世帯数ともに岡山県の方が多いにも関わらず、高知県で改修工事を行なっている件数は1000件以上とのことで大変驚きました。
岡山県は30件ほどです…

上の写真にある円グラフをご覧ください。
なんと自己負担なく耐震改修工事を行った方が全体の1/4にものぼり、自己負担が30万円未満の方が約2/3、50万円未満の方が全体の3/4以上で、100万円を超えた方はわずか10%ほど。

1000件を超える工事件数の背景には、自己負担の少なさがあることは間違いないと思います。
では、実際の工事費はいくらくらいなのでしょうか。

耐震改修工事費はどのくらい?

こちらのデータは高知県のものですが、130万円までの工事費が半数を占めています。
(資料が見づらいです。すみません。)
そこから補助金を活用することで、実際の自己負担は先ほどのように少額で収まっている方がほとんどのようです。

こちらは岡山県で行われた耐震改修工事の費用ごとの件数を表したグラフです。(縦軸が件数です。)
平均工事費は252万円ということで、あきらかに高知県よりも高いですよね。
(高知県のデータが2021年、岡山県のデータが2021~2023年です。岡山のデータの方が少し建築資材高騰の影響はあるかもしれません。)

ちなみに、工事費が125万円以下の割合は約7%ほど。
高知県の130万円以下が50%と比べると、工事費の違いは明らかです。

低コストで耐震改修を実現する

講習でも岡山県の担当者から、費用を抑えた改修工事の提案を進めていきたいという話がありました。
決して高知県と岡山県で同じ内容の工事にここまで金額の差があるわけではないと思います。
では、どうしたら低コストで耐震化を実現できるのか。

例えば家の一部の壁を地震に耐えるための強い壁に改修する場合の一般的な工事の流れは、
①今ある壁を解体

②筋交いや金物を設置したり、合板を張るなどの補強工事を行い、地震に強い壁に作り替える

③綺麗に仕上げをして工事完了
という感じです。

これは補強箇所を隠すために①や③の工程があるのですが、そもそも補強箇所を隠すが必要があるのかどうか。
様々な耐震補強の工事費用をいかに低コストで実現できるかを検討していくと、こういった工事の工程を見直す必要も出てきます。

見えてもいい箇所は隠すための工程(①と③)を減らすことで、費用も②だけに抑えられます。
これまで弊社も押入や物入などのスペースなど、他の箇所に比べて③の費用を抑えやすい箇所を選んで補強を計画してきたのですが、それだけでは、高知県のように大幅に費用を抑えるのは難しいです。
やはり、私たち建築従事者も考え方を変えて、仕上がりの美しさや補強箇所を隠すのを当たり前とせず、命を守るための建物の補強を優先したご提案もしないといけないな、と感じました。

大地震に地域で備える

お話してきた耐震改修とは、そもそも補助対象となるのは1981年以前に建築された「旧耐震基準」の住宅です。
築年数だと40年以上ですし、高齢の方がお住いの場合も多いと想定されます。
自己負担が大きくなればなるほど、必要だと感じていても実際に工事費用が捻出できないというケースも少なくないと思います。

よく「私たちが住むだけだから、お金をかけても…」と言われる方も多いのですが、自分たちの命を守って欲しいですし、万が一、大地震により建物が倒壊してしまった時には、他の方の命を奪う可能性もあります。
TV等で地震により倒壊した建物の映像をご覧になったことがあると思いますが、ほとんどの建物が前や横に傾いて崩れるように倒壊していると思います。
もし倒壊の時に、家の外を歩いてる人がいたら?お隣りの家の方に倒れてしまったら?
実は住宅の耐震化は、そこに住む方だけの問題ではなく、地域の問題なのです。

だからこそ、私たちも実現できる耐震改修工事の選択肢を増やし、費用ができるだけかからない方法をご提案しなければなりません。
それが地域の建物の耐震化の促進となり、大地震への地域としての備えとなります。

今回の講習をきっかけに住宅の耐震化について改めて考えましたが、地域の住宅が大地震から命を守れる住宅となるよう微力ながら尽力していきたいと強く思いました。

倉敷で高気密高断熱な木の家を「satoie」

竹田建設株式会社

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